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AWS案件特集

2022/06/23

ITエンジニア、特にWeb系の開発エンジニアにとって避けては通れないクラウドサービス「AWS(Amazon Web Services)」。
多くの企業がオンプレミスからクラウドに移行している今、ますますAWSエンジニアの需要は高まっています。
この記事では、AWSの特徴や認定資格の種類、AWSに関わる案件に参画するために必要なスキルについてお話します。
フリーランスエンジニアでAWSの技術に関心がある方や、バックエンド・インフラエンジニアでAWSの習得を目指したい方、AWSで高単価案件に参画したいと考える方はぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. AWSとは
  2. AWSの資格について
  3. AWS案件単価と求められるスキル
  4. AWSの今後、案件の動向、将来性
  5. まとめ

AWSとは

AWSとは、インターネットを介して企業や個人にサーバーやストレージ、データベース、ソフトウェアといったクラウド環境を提供するクラウドサービスです。
もともとAmazon社内のビジネス課題を解決するために生まれたITインフラのノウハウをもとに開発されたもの。
クラウドサービスには、他にMicrosoft Azure、Google Cloud Platformがありますが、AWSは日本国内でも32%(※)のシェアを誇っており、No.1を独占しています。

※参考:https://canalys.com/newsroom/global-cloud-market-Q12

従来サーバー、オンプレミスとの違い

従来、サーバーやソフトウェアなどの情報システムを自社運用していた「オンプレミス」では、初期導入コストやインフラの維持コストがかかり、拡張する際には多くのリソースを必要としていました。
それに対してクラウドは、サーバー購入の初期費用や維持費用もかからず、インターネット経由でサーバーやデータベース、ストレージといったITサービスを利用できます。

AWSができること

AWSには、Webサービスの構築・運用からデータの保存、データベースの利用、ビッグデータの蓄積から運用、基幹・業務システムの構築、統合開発環境の構築など、100を超えるサービスがあります。
代表的なものは以下になります。

サーバー環境構築・Webサイトの運用:Amazon EC2
データ保存・災害対策:Amazon S3
データベース・業務アプリケーションの利用:Amazon RDS

サーバー環境構築・Webサイト運用:Amazon EC2

EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)は、必要に応じてスペック変更や冗長化できる仮想レンタルサーバーです。Webサイトの規模やアクセスの変動に応じて容量を画面上の簡単な操作だけで実行できます。

データ保存・災害対策:Amazon S3

EC2(Amazon Elastic Compute Amazon S3(Amazon Simple Storage Service)は、Amazonのサーバーを利用したストレージサービスで、インターネット経由でどこからでもデータを保存・閲覧できます。
保存容量に制限が無いうえ、99.999999999%(イレブン・ナイン)という非常に高い耐久性・データ消失の可能性も限りなくゼロに近いのも特徴です。

データベース・業務アプリケーションの利用:Amazon RDS

Amazon RDS(Amazon Relational Database Service)は、顧客リストや商品管理などの情報をわかりやすく効率的に管理できるデータベース。
画面上で冗長化・バックアップも可能で、ユーザーはデータベースのサーバー管理の手間が省けます。
その他、AI機能として『Amazon Personalize』や、ビッグデータ分析として『Amazon EMR』、Iot構築サービスとして『FreeRTOS』などがあります。

AWS導入のメリット・デメリット

AWS導入のメリット

・従量課金制でコスト削減になる
・セキュリティレベルが高い
・柔軟性・拡張性に優れている
・自動でアップデートするので、メンテナンス不要

従量課金制でコスト削減になる

AWSは導入に初期費用はかからず、従量課金制で利用したサービスのみの支払いで済むので定額制と比べてコスト削減になります。
オンプレミスのように、サーバーが老朽化することもなく、メンテナンス費用やランニングコストもかかりません。

セキュリティレベルが高い

AWSのセキュリティISO27001やSOC、PCIなど世界各国の様々なセキュリティ標準の要件をクリアしていて、政府や国際的な金融機関も利用できる堅牢なセキュリティを備えています。
また、世界中にAWSのデータセンターを設置していることから、データ障害や大規模災害が起きた場合もリスクが分散されます。

柔軟性・拡張性に優れている

AWSのサービスには、『EC2(Elastic Compute Cloud)』のようにElastic(:伸縮自在の)と名前がつくものが多いことからも、必要に応じて柔軟にサービスを拡張できることがわかります。
事業拡大や新規立ち上げ時に必要なサーバー台数を拡張したり、ストレージのアップグレードも自在です。

自動でアップデートするので、メンテナンス不要

AWSでは定期的にユーザーのフィードバックを反映して最新ハードウェアへのアップデートが行われています。ユーザーは、メンテナンスをすることなく最新の機能を使うことができます。

AWS導入のデメリット

・予算の計画を立てにくい
・サービスの選定が難しく、運用ノウハウが必要

予算の計画を立てにくい

AWSは定額制ではなく従量課金制なので、必要なときだけ加算されるメリットがありますが、一方で毎月の予算が組みにくいというデメリットがあります。

サービスの選定が難しく、運用ノウハウが必要

現在AWSには200以上のサービスを提供しており、随時新サービスがリリースされています。また、AWSは初期費用がかからずすぐにサービスを導入できますが、運用サポートはありません。
サービスを選定から導入、運用、さらにトラブルシュートまで自社で行うことになるため、AWSに知見があるエンジニアが必要になります。

導入事例

AWSは、実際に多くの企業で導入されています。

任天堂株式会社、株式会社ディー・エヌ・エー

任天堂とDeNAの協業により開発されたゲーム『どうぶつの森 ポケットキャンプ』や『Super Mario Run』の各種機能もAWS上に構築・運用されています。
ユーザーが快適にゲームをプレイするためのサーバーの運用とオペレーションコストの最適化がなされています。

※参考:https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/nintendo-dena-2020/

株式会社ジャパンネット

日本で最初のネット専業銀行であり、独自のデビットサービスや法人向け決済サービス、日本の銀行で初めてのワンタイムパスワード発行といった、前衛的なサービスを打ち出したジャパンネット。
同社はOA系システムにおいてサーバーの老朽化・OSの保守切れ・被災時の対策不足といった問題を抱えていましたが、AWS導入によってそれらを解決しました。

※参考:https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/japannetbank/

このように、様々なサービスに対応できるAWSは今後も需要が高まると言えます。

AWSの資格について

サービスの範囲が広いAWSの中で、どの技術を保持しているかを証明するためにも、認定資格の取得がおすすめです。AWSを扱えるエンジニア自体が少ないので、AWSの運用経験がなくても資格を取得していると有利になるケースも。
また、AWSのパートナー制度により、社内にAWS認定資格をもつ社員がいると「AWSを構築・運用できる会社」として認定を受けることができます。
そこで、ここからは、AWS認定資格の種類と難易度についてお話ししていきます。

認定資格の種類・難易度

AWS認定資格はベーシック・アソシエイト・プロフェッショナルの3種類のレベルに分かれ、プロフェッショナルと専門知識は難易度がかなり高く、扱う知識も広範囲になります。

ベーシックレベル 難易度・低

『クラウドプラクティショナー』

AWSクラウドの概念、AWS全般のセキュリティ・テクノロジー・料金についての知識が問われます。入門・基礎レベルなので、AWS公式サイトで提供されているテキストを使用して試験対策を行えば取得できるでしょう。

アソシエイトレベル 難易度・中

実際に1年ほどAWSの実務経験がある方に向けた資格で、設計・運用・開発担当者向けに分かれています。

『ソリューションアーキテクト』 設計者向け

AWSシステムの設計・構築・運用の5原則と最適な活用法について学び、効率の良いクラウド環境の設計・構築・運用の提案ができることの証明になります。

『SysOpsアドミニストレーター』 運用担当者向け

障害に強いシステムの開発・管理・運用を行うためにAWSのサービスの運用技術について学びます。AWS上でのデプロイ、管理、オペレーションができることの証明になります。

『デベロッパー』 開発者向け

AWSを使用したアプリ開発の技術や知識を習得し、AWS上で実装・保守ができることの証明になります。

プロフェッショナルレベル 難易度・高

2年以上のAWS実務経験を持つ方に推奨される資格となり、難易度は一気に上がって出題範囲も広域になります。
設計者向けと運用・開発者向けの2つに分かれています。

『ソリューションアーキテクト』設計者向け

アソシエイトレベルよりさらに難易度は上がり、効率の良いクラウド環境の設計・構築・運用の提案ができ、コストコントロール戦略の導入までできることの証明になります。

『DevOps エンジニア』運用と開発者、両方の役割を担う

デベロッパーとSysOpsアドミニストレーター両方の知識が求められ、資格を取得するとAWS上でDevOpsの手法を用い、高い可用性や自己修復機能を備えたスキルを実装できることの証明になります。

専門知識 難易度・高

専門知識では、セキュリティ・データ分析・データベース・アドバンスドネットワーキング・機械学習の5種類があります。

『セキュリティ』

ユーザーアクセスや暗号キー、セキュリティの最適化など、AWS上でのセキュリティに関する知識とベストプラクティスについて学びます。

『データ分析』(旧:ビッグデータ)

データ収集・格納・処理・分析・可視化・セキュリティなど、複雑なビッグデータの分析を実行するための知識となります。2020年4月に「データ分析」と変更されました。

『データベース』

サービスのパフォーマンス向上、コスト削減、新規提案のために最適なAWSデータベースソリューションの提案・設計・保守を行う能力の証明になります。

『アドバンスドネットワーキング』

AWS上の全てのサービスで使用するネットワークアーキテクチャの設計・実装・管理に関する知識や、ツールを活用してAWSネットワークのタスクを自動化する技術があることの証明になります。

『機械学習』

ビジネス課題に対する機械学習ソリューションを設計・実装・デプロイ・維持する能力が検証されます。開発、あるいはデータサイエンス業務に携わる方を対象にしています。

※『Alexaスキルビルダー』は、2021 年 3 月 23 日に終了しています。

勉強方法

AWSの公式サイトには、初心者から中級者までレベル別に学べる講座や資料が揃っています。実際に手を動かしながら学ぶことができるので、おすすめです。

「AWS クラウドプラクティショナーの基礎知識 (第2版)」:AWSの全体像がわかる
「AWS サービス別資料 ・AWS ドキュメント」:AWSのサービスの詳細がわかる
「セルフペースラボ・AWS ハンズオン資料・10分間チュートリアル」:実際に動かしてみる

そのほか、公式サイトのオンラインセミナーでは1~2時間半の講義があり、座学形式・ハンズオン形式のものがあります。AWSアカウントがあれば視聴できるので、積極的に活用しましょう。
また、各レベルごとの模擬試験も受けることができます。試験を受けた後に復習したい場合は、キャプチャを取りながら回答していくといいでしょう。
公式サイト以外でも、AWSに関する書籍や動画サイトがたくさんあり、エージェントでAWS講習を開催しているところもあるので、いろいろ試してご自身に合った勉強法を探してみてください。
ちなみに、AWSを利用する人が集まるコミュニティに「JAWS-UG」があります。
AWSの勉強会が行われているので、「1人で学ぶより仲間がいた方がいい」「AWSを扱う人達の交流会に参加してみたい」という方は覗いてみてください。

AWS案件単価と求められるスキル

ここからは、AWSエンジニアの実際に得られる単価の相場や、AWSエンジニアに求められるスキルについてお話します。

AWSエンジニアの単価相場

<フリーランスのAWSエンジニア年収相場>

平均年収
912万円(月単価76万円)
最高年収
1980万円(月単価165万円)
最低年収
180万円(月単価15万円)

※参考:https://freelance.levtech.jp/guide/detail/1397/

AWSの経験年数が上がるにつれて単価は上がりますが、平均単価を見ても、他のエンジニアと比べて高単価になります。
全くの実務未経験の方が、いきなりAWSエンジニアとしてフリーランスで活動するのは難しいですが、バックエンドやインフラの開発経験がある方なら、独学のAWSの知見があるだけでも高単価を得ることは難しくありません。

<AWS経験年数ごとの単価相場>

AWS経験年数
単価
1年目
~45万前後
2年目
50~55万前後
3年目
55~60万前後
4年目
60万以上

※参考サイト:https://proengineer.internous.co.jp/content/freelance/14663

実際は、上記よりも高単価になる場合も多く、AWSの構築・運用・保守全般を請け負う場合やPM経験もある方だと、単価100万円を超える場合も少なくありません。

AWSエンジニアの仕事内容と求められるスキル

AWSエンジニアは、Web系・SIer系ともに需要が高く、業務範囲は開発から設計・実装・テスト・運用・管理まで多岐にわたります。
AWSエンジニアの案件は、大きく3つの種類に分類されます。

オンプレミス環境からAWSへ移行作業

大手金融機関や保険会社、Web系企業など、業種を問わず、オンプレミス環境から切り替えたい企業は多く存在します。
AWSエンジニアの役割は、AWSサービスの中から最適なサービスを提案し、設計して導入することから、構築、監視、保守、運用に至るまで、広範囲にわたります。

【必要なスキル】

AWSのアソシエイト以上の知見や開発経験のほか、オンプレミスでのサーバOSやハードウェアの知識、ネットワークインフラに関する設計・構築・運用の知識も求められます。
インフラエンジニア、あるいはバックエンドエンジニアとしての開発経験は必須です。

スタートアップ企業や新サービス開始時のAWS導入

Web系企業でのアプリケーション開発やスタートアップベンチャー企業といったモダンな環境では、クラウド環境の導入が必然的です。
クライアントの要望をもとに、どのAWSインフラが最適かを提案しながら設計していきます。その後、AWS環境の構築・運用を担当します。

【必要なスキル】

AWS環境を構築した上でフロントの技術を乗せていくため、インフラやバックエンドの知識だけでなく、Web系のフロントエンドの技術やアプリ開発に関する知見が求められる場合もあります。
ここで実際の案件例を1つ紹介します。

【ジャンル・内容】
サーバーサイドエンジニア

【概要】
アカウント登録やログインなどの機能を提供する認証基盤と、
アカウントに紐付いた個人情報を管理しているアカウント情報基盤の開発・運用・保守。
工程:基本設計~保守改修

【開発環境】
クラウド環境: AWS
OS: Linux
ミドルウェア: Tomcat / MySQL / Couchbase / Cassandra
開発言語: Java
FW: Spring / JUnit / Karate
管理ツール: GitHub Enterprise / ZenHub etc.
その他ツール:Docker / CircleCI / Jenkins / Datadog etc.
開発マシン:Mac

【スキル】
必須:
・Java + Spring/Spring Bootを利用した開発経験
・AWSに関する知識・運用経験
・Gitでのチーム開発

尚可:
・要件定義やソフトウェアアーキテクチャーの設計経験
・分散システムに関する基礎知識
・Docker/Kubernetesを利用した開発経験
・Terraformなどの構成管理ツールを利用したIaCの経験
・CircleCI/GithubActions/Jenkinsを利用したCI/CDの経験

AWSの知識・経験だけでなくシステムの開発経験やトラブルへの対処スキル、要件定義の設計経験など、多くのスキルが求められることがわかります。

AWSインフラの運用

実際にAWSを導入した後の、運用や保守の業務になります。

【必要なスキル】

AWSの運用経験、ネットワークの基礎知識やサーバー構築、運用経験

高単価案件を獲得するには

AWS案件に参画するには、ベースとしてWebのサーバーサイドエンジニア、あるいはネットワークエンジニア、サーバーエンジニアとしての実務経験が必要になります。
AWSの資格を取得すれば、エンジニアの実務経験が無くても高単価案件に参画できるわけではないということを覚えておきましょう。
また、設計や構築といったインフラ面に関わる職種になることから、上流工程の経験やPM経験、コンサルタントのように最適なサービスを提案する能力も求められます。
設計と運用を兼ねて総合的にサービス改善をはかる「DevOps」の考え方も学んでおく必要があります。

AWSの今後、案件の動向、将来性

クラウドサービス需要動向調査によると、今後ますますオンプレミスからクラウドへの移行作業は増え、パブリッククラウドの成長率は加速すると予想されています。 また、PaaSとIaaSの領域を包括するクラウドサービスは、AWSの他にMicrosoft AzureやGCPがあります。クラウド利用者の約半数がAWSを選択している(※)ように、今後もAWSの需要は拡大傾向にあると予想されます。

※参考サイト:クラウドコンピューティングのタイプ|AWS公式

AWSエンジニアに求められる技術は多岐にわたり難易度も高いですが、その分需要は多く、市場価値の高いエンジニアとして重宝されるはずです。

まとめ

AWSエンジニアは、全くの実務未経験の方がすぐになれるものではなく、認定資格の取得も容易ではありません。ただ、モダンな技術の実務経験が学べるWeb系開発企業で、最低1年間でもエンジニア経験を積んでいれば、AWSを取得することでさらなる市場価値向上につながります。
AWSの中にも種類がたくさんあるので、自分に関心のある分野から勉強を始めてみるといいでしょう。
今のキャリアではAWSのどのジャンルを習得すればいいかな?AWSの案件についてもっと情報が欲しい!と思ったら、ぜひエージェントを活用してみてください。

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