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【前編】AIエンジニアの将来性についてー将来性が危ういと言われる理由とは

2022/09/15

AIの技術革新が進むなか、AIエンジニアの活躍は様々な場面で期待されています。
今後はネットビジネスだけでなく、製造業や物流インフラ、農業に医療分野などと、業界を問わずAIが活用されていくため、AIエンジニアの将来は安泰に見えますよね。
しかし、中には「仕事がなくなる恐れがある」とAIエンジニアの将来性を危ぶむ声があります。
この記事では、これからAIエンジニアの需要が高まる業界や仕事内容、そしてAIエンジニアとして市場価値を高めていくにはどうすればよいのかについて、前編と後編に分けてお話しします。

今回は、AIエンジニアの現在の需要・供給の状況と、今後需要が高まるとされる業種や業務内容、そして「将来性が危うい」と言われる理由について深堀りしていきます。 「AIエンジニアが今後どのように活躍していくのかが知りたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. AIエンジニアの需要・供給の現状
  2. 今後AIエンジニアが活躍する業界とは
  3. AIエンジニアは将来性が危ういと言われる理由
  4. まとめ

AIエンジニアの需要・供給の現状

まずはAIエンジニアの需要と供給の現状についてお話ししていきます。

AIエンジニアの需要は拡大中

今や音声認識や画像認識、IoT家電の普及などにより、AIは私たちの生活に広く浸透してきています。特に、個人向けにカスタマイズされたサービスを展開する「レコメンド機能」を活用したサービスなど、より高度なサービスが求められるようになってきています。
また、様々な業界でクラウドやAIを活用して業務を効率化させる動きが急速に進んでいます。

そして、2020年5月にIPA(情報処理推進機構)の「DX推進に向けた企業とIT人材の実態調査」(※)によると、DX推進に必要な人材に先端技術エンジニアやデータサイエンティストが含まれていることからも、日本のIT国家戦略においてAIエンジニアの重要度が高まっていることがわかります。

このように、市場ニーズの高度化やクラウド技術の普及、DXの推進によってAIエンジニアの需要は拡大しています。

※参考:DX推進に向けた 企業とIT人材の実態調査

「AI技術をビジネスに活かせる人材」の不足が深刻

世界と比較すると、日本はAI技術の導入が非常に遅れています。
2019年にオラクル社とFuture Workplace社が共同で世界の主要10か国に対し、「AIの職場利用などに関するアンケートの結果」(※1)の調査を実施しました。「現在職場でAIが利用されているか否か」という質問に対して「はい」と回答した人の割合は、インドは78%、中国は77%と回答したのに比べて、日本は29%でした。これは世界の主要10か国の中で最下位となっています。

また、IPAが日本企業のAI技術の最新動向について解説した「AI白書2020」(※2)においても、AIを「すでに導入している」企業の割合は4.2%、「現在実証実験(PoC)を行っている」企業が4.8%となっており、AIの導入率が低いことがわかります。

その大きな原因として、「AI事業企画ができる人材の不足」が挙げられます。
AI事業企画ができる人材とは、AI技術をビジネスに活用するノウハウを持った人材のことを指します。

多くの企業はDXの重要性を認識しており、AIを導入しようと試みていますが「現状の何が課題で、AI技術を使ってどのように改善できるかがわからない」「AI技術でどんなサービスや製品を生み出せるかが思いつかない」という問題を抱えています。
そういった企業に対して、AIの活用方法や成功事例、自社での導入イメージという企画から導入、運用まで任せられるAI人材が重要になってきますが、実際にそこまで対応できる人材はごくわずかです。

「AI事業企画ができる人材」に求められるスキルについては【後編】の記事でお話しします。

※参考1:AIの職場利用などに関するアンケートの結果
※参考2:AI白書2020

今後AIエンジニアが活躍する業界とは

経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、AI人材の需要と供給のギャップについて、2018年から2030年の間に以下のように拡大すると予想されています。

AI 需要の伸びが「平均」で、かつ、生産性上昇が起こらない場合、AI 人材需要の伸びが AI 人材供給の伸びを上回り、2030 年時点で 14.5 万人の需給ギャップが生じると試算され、現在(2018 年時点)で 3.4 万人から需給ギャップが拡大する。

※引用:- IT 人材需給に関する調査 - 調査報告書

つまり、2018年では3.4万人不足していると考えられていたAI人材が、2030年には14.5万人もの人材不足が懸念されているということになります。
そして、内閣府の「AI戦略2021」(※)によると、特に医療・介護や製造業・農業・漁業、物流・インフラ業界などにおいてAIの積極的な活用が推進されています。

※参考:AI戦略 2021

AIエンジニアの需要が高まる産業

業界ごとにどのようにAIが活用されていくのかを見ていきましょう。

医療・介護

医療の現場では、AIと医師が病気の診断や治療法の提案を行うことで、より正確な診断が可能になります。例えば富士フイルム株式会社では、AIを使った高画質・低線量の画像処理技術が開発されており、医師がスムーズに病名の診断ができるようになりました。
また、電子カルテの活用により、医師や看護師の業務の軽減につながっています。

予防・介護の分野でも、AI/IoT技術を導入し、熟練介護士のような質の高い介護サービスをAIが実現することで介護従事者の負担を軽減させることができます。今後ますます高齢化が進む日本では、医療・介護業界でのAIの活用は欠かせません。

製造業

製造業界では、熟練技能者の不足や検査にかける人件費の高騰が課題となっています。特に検査の工程では人の経験や感覚に頼る部分が多く、自動化が急務となっています。
オムロン株式会社は、製造現場における外観検査を自動化するため、熟練者の感性や経験を再現した欠陥抽出AIと、それを既存の画像処理システムに搭載できる技術を開発しました。通常のPC環境で作動可能なため、エンジニア不在でも現場で立ち上げられる導入のしやすさも特徴的です。
設計や製造などものづくりの現場で、長年にわたって蓄積されてきた経験や勘による知見をAIに落とし込むことにより、スキルの伝承と生産性向上が期待できます。

農業・漁業

業務の過酷さゆえ、専業農家は年々減少しています。
漁業や畜産業も同様に減少の傾向があるので、これら第一次産業にもデジタル技術の積極的な活用が推進されています。

農家では、ハウス栽培での温度管理や水やり、収穫予測、そして収穫作業をAIが行うことで、負担を軽減できます。例えば株式会社スマートロボティクスは、AI×自動走行型アームロボットがトマトの収穫時期を見極めて収穫する「トマト自走収穫ロボット」を開発しています。

また、漁業においては、回転寿司チェーンのくら寿司がスマート養殖によって育てた「AI桜鯛/大トロ」を販売したのは記憶に新しい方もいるかもしれません。
養殖ではエサやりに手間がかかるうえ、給餌量を誤ることもあります。くら寿司の子会社「KURAおさかなファーム」では、スマート給餌機を使用することでそういった無駄を解消しています。
農業や漁業においても、AI技術を用いて人の負担を軽減しながら生産性を高めることができるのです。

物流・インフラ

物流産業は、医薬品流通ネットワークとしても活用できるため、高齢化が進む日本ではますます重要度が高まるとされています。しかし、物流の現場ではEC市場の拡大と宅配便の利用増加により、手荷役作業の負担や長距離ドライバー不足が深刻化しています。
大手運送会社のヤマトホールディングス株式会社は、ビッグデータとAIを活用し顧客ごとに配送業務量を予測し、より効率的な配車計画を自動的に作成するシステムを開発しました。
従来の運送ノウハウをAIに学習させ、物流網の効率性向上だけでなく、交通障害の自動検知、災害発生予測を行うことで人的要因による事故を減らし、移動に伴う社会コストを最小化させることにもつなげています。

AIエンジニアの需要が見込める仕事

それでは、AIエンジニアには主にどのような役割があるのでしょうか。

企業のDX推進支援

中小企業庁が出した「中小企業のAI・データ活用について」(※)によると、多くの中小企業がDXの重要性を認識しているにも関わらず、実際にAIの活用に至っているのは1.2%にとどまります。その原因として約半数が「技術・ノウハウを持った人材が不足している」と認識しています。
企業での業務効率化や、データのビジネス活用が必要だと認識していても、AI人材を十分に調達できないことや、社内のDXへのリテラシー不足から、DX化が進まない企業も多いようです。企業戦略と経営視点をもとに、AI技術を用いてDX化を進められるエンジニアが求められます。

※参考:中小企業のAI・データ活用について

企業でAI技術を用いた製品開発

AI技術には、主にチャットボット、顔認証、音声認識・通訳・翻訳、画像認識・画像解析・異常検知・予知保全、IoT、エッジAIなどがあります。
チャットボットや音声認識は、顧客対応の効率を向上に、顔認証AIはセキュリティ対策や健康チェックなどに役立っています。
そしてIoTは、あらゆるモノをインターネットでつなげられることから、いまや家電だけでなく、工場の生産ラインを支える管理システムやセンサーに搭載されています。
また、IoT家電などの各デバイスから得られた情報を活用し、顧客ニーズを探り新たなサービスに結びつけることができます。

上記以外にも、AI機能やデータの活用法は無限にあります。消費者個人にパーソナライズされたサービスが求められるように、AI技術を活用し、各企業の特長を活かせるサービスや製品を展開ができる人材が求められています。

大学・研究機関での研究開発

営利目的ではなく、AI技術の基礎研究のような難易度の高い事柄を扱うのであれば、大学や先端技術の研究機関に就職するという道があります。探求心が強く、AI技術の発展に貢献したいという方は、研究職が向いているでしょう。

AI技術搭載製品の保守運用

既に市場には多くのサービスや製品にAI技術が搭載されています。これらの保守運用にはAI技術の知見をもった人材が必要です。また、既存のAI製品を他の顧客仕様に合わせてカスタマイズしたり、他事業に展開したりすることもあります。 AI技術をより市場に浸透させ、効果を最大化させていくという意義があります。

上記のほか、AIエンジニアを育成するスクール等の育成者も需要が高まるでしょう。

AIエンジニアは将来性が危ういと言われる理由

AIに関連するシステムや製品の開発・保守運用には欠かせない存在のため、今後AIエンジニアは、需要がますます拡大すると予想されています。しかし、「このままAI技術の発展が進むとAIエンジニアは不要になるのでは」という声があります。

AIエンジニアの仕事はなくなる?

AutoMLで効率的に機械学習が導入可能に

従来、機械学習を行うには、データサイエンスの知識をもったエンジニアがプログラミングを行う必要がありました。
その工程の一部を自動化することで、ユーザーは高度なプログラミングスキルを保有していなくても、機械学習の機能を自社システムに取り入れることが可能になりました。

その自動化システムが、「AutoML(Automated Machine Learning)」です。 機械学習を行うには、仮説の定義、データ収集・加工、特徴量設計、機械学習モデルの生成、モデルの運用というステップを踏みますが、AutoMLはデータ収集以降の工程からモデルの設計までを自動で行います。 また、バグを検出して修正する機能や、システムのアップデートに伴って自動的に他の箇所もアップデートを行うといった機能もあります。 数名のエンジニアが時間をかけて行う作業でもAutoMLを活用すれば短期間で完了するため、生産性が向上します。AutoMLは、Googleからは「AutoML Table」が、Microsoftからは「Automated ML」のようなツールが登場しています。 今後の開発の現場では、AutoMLの知見や使用経験も求められるようになるでしょう。

AIにできない仕事とは

「全ての作業がAIで代用可能になると、人間の仕事が無くなるのでは」という懸念も生まれますよね。 AIは、大量のデータを集計して分析したり、時間のかかる作業を自動化することで正確かつ 迅速に処理したりする作業を得意としています。

一方で、業界の慣習を踏まえて新たな需要の予測をしたり、分析結果を通じて課題を設定し、新たなビジネスモデルを考案することなどは、現時点では難しいとされています。
「AI技術を活用して、業界や企業に合った製品やサービスを新たに生み出す」という能力が、人間の得意とするところと言えるでしょう。
それはつまり、データの集計作業や保守運用といった下流工程しか対応できないエンジニアは将来的にAIに仕事を取って代わられる可能性が高いため、将来性は危ういと言えるでしょう。

AIエンジニア志望者の急増により競争が激化

AIエンジニアへの需要は高まると予想されている一方、AI技術の注目度の高さゆえに志望者も急激に増えています。
「日本ディープラーニング協会(JDLA)」(※)によると、ディープランニングに関する認定資格「E資格」の受験者数は、2018年度は337名だったのに対し、2022年度は1,327名に急増しています。

実際に市場で求められるのは、「AIの知識がある人材」ではなく「実務でAIを扱った経験を豊富にもつ人材」です。 そのため、AIの知識を持っていても、経験値が足りず現場で活躍する機会が少ない「自称AIエンジニア」も増えているようです。

AI技術の導入を検討する企業は多いものの、AIエンジニアを社内で育成する余裕のある企業は少なく、AIエンジニアを募集するときには即戦力になる人材が優先されます。
「ビジネススキルとAI技術をかけ合わせた実務ができる」といったことや「はるかに凌駕したAI技術を保有している」といった他のエンジニアと差別化ができない限り、AIエンジニアとして長く活動を続けるのは難しいでしょう。

※参考:「E資格(エンジニア資格)2022#1」

まとめ

今回は、AIエンジニアの現在の需要と供給の状況、今後需要が増えるとされる業種や業務内容、そして「将来性が危うい」と言われる理由についてお話ししてきました。
IPAの『「IT人材白書2019」概要』によると、AIエンジニアは、「AI研究者」と「AI開発者」、そして「AI事業企画」の3つに分類されます。
【後編】の記事では、それぞれの特徴について深堀りしていきます。
ITエンジニアからAIエンジニアへの転身を検討している方にとって役立つ情報となります。AIエンジニアとして市場価値を上げる方法を知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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