マネジメント経験は必要?エンジニアに求められるマネジメントスキルとは
2022/09/15
「エンジニアがキャリアアップしていくには、マネジメントは避けて通れない」と聞いたことがありませんか?
HORNOの記事でも「30、40代を過ぎてPLやマネジメントをした経験が無いと案件選択の幅が狭まる」とお話ししてきました。
でも、中には以下のような不安を感じる方がいるのではないでしょうか。
「マネージャーになったらエンジニアの業務ができなくなるのでは?」
「人見知りだから、マネジメントなんてできない」
「リーダーシップを持っている人でないと厳しいのでは?」
実は、エンジニアに求められるマネジメントスキルは、他の職種のマネジメントに求められるスキルとは少し違います。今回は、エンジニアに求められるマネジメントスキルの特徴についてお話ししていきます。
エンジニアにおけるマネジメントとは
まずは、マネジメントの役割と種類、そしてマネジメント業務を経験することで得られるメリットについて説明します。
エンジニアのマネジメントの役割
エンジニアにおけるマネジメントは、QCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)を管理して成果を上げることを目的としています。
<エンジニアのマネジメント業務例>
・顧客の要望に応じたシステムの選定
・開発コントロール・開発環境の整備
・経営陣や他部署との連携
・技術支援やプロダクトの運用
・エンジニアの育成、外注コントロールなど
サービスに合った技術を選定し、チームが効率的に作業が進められるように開発環境を整えます。
エンジニアのマネジメント職
エンジニアのマネジメント職には、TLやEMなどがあります。業務内容は企業によって異なり、小規模な会社であれば1人が兼任することもあります。
TL(テックリード)
エンジニアがある程度開発の経験を積むとテックリードになり、エンジニアチームのリーダーとして開発をリードしていきます。具体的には、設計書の作成や技術の選定、テスト計画やコードレビュー、コードの安定性の維持といった技術面を管理します。
EM(エンジニアリングマネージャー)
TLが自身も開発業務に関わるのに対し、EMは開発そのものに携わるというよりは、メンバーの技術力をマネジメントしてチームのスキルを底上げすることに注力します。
チームが成果を上げられるように開発環境を整えたり、エンジニアのスキル習得の支援を行ったり、採用活用や評価の仕組みを作ったりと組織の生産性を向上させるために尽力します。
エンジニアがマネジメントをやることのメリット
エンジニアがマネジメントを担当することは、現場にもエンジニア自身にとってもメリットがあります。
システム開発の効率化につながる
開発を俯瞰して見られるため、業務の問題点や改善点を発見しやすくなります。
また、マネジメント業務を行いながらエンジニアとして技術を提供することもできるので、手が足りない時には、戦力としても活躍でき、人件費の削減になります。
さらに、経営陣と現場をつなぐパイプ役としての役割も担うため、ビジネスサイドと技術サイドの意見に相違が生じることも防げます。
エンジニア自身のスキル向上にもつながる
マネジメント業務を経験することは、エンジニア自身にとってもメリットがあります。開発が効率的に進むように設計を考えることや、チームメンバーを把握し、時には自分の専門外の分野にも対応する必要が生じます。
その結果、技術に関する幅広い知識やスキルが身に付き、自身の成長にもつながります。
マネジメントをする立場になると、開発業務というよりはメンバーが開発に集中できる環境を構築する作業に忙殺され、自分の仕事の成果が見えないとジレンマを感じる方も多いようです。
管理業務がメインにはなりますが、「メンバーそれぞれが持つ専門知識や知見を、どのように活用すればプロジェクトを成功させられるのか」を考えることは有意義な経験になるでしょう。
マネジメントに向いているエンジニアとは
マネジメントスキルは習得可能である
「もともとリーダーシップがあってコミュニケーション能力が高い人がマネジメントに向いている」と思って敬遠していませんか?
実は、マネジメントスキルは才能や人柄によって左右されるものではなく、後天的に習得できるものです。実際に、エンジニア向けのマネジメントに関する書籍やアジャイル開発のコミュニティなどでマネジメントについて学んでいる方も多く見受けられます。
職人気質の人こそマネジメント向き?
エンジニアは、他の職種の人から「細かいところにこだわる」「黙々と作業しているイメージ」といった印象を持たれることがあります。そのような理由で、ビジネスサイドの経営陣とエンジニアは馬が合わないと感じることもあるかもしれません。
しかし、エンジニアのマネジメントは、技術にこだわる職人気質の人こそ向いていると言えます。
エンジニアの多くは、自分本位のこだわりに固執しているのではなく、データをもとに論理的に考え、しっかりとした裏付けをもとに意見を発していますよね。そういったことを理解し、エンジニアに向き合って話を聞いてくれる方がマネジメントを担当すれば生産的な議論ができるのではないでしょうか。
エンジニアがマネジメントで求められるスキル
エンジニアがマネジメントをする場合、4つのマネジメントスキルと課題解決能力・言語化能力が求められます。
開発で求められる4つのマネジメントスキル
テクノロジーマネジメントスキル
開発効率を上げるために、どんな技術を選定していくべきかを判断します。
例えば、バグの発生を最小限に抑えつつ開発効率を上げるための設計や技術の選定や、リリース後の安定性を重視する際に最適な技術の選定などが挙げられます。
それには、最新技術に関する知見も含め、幅広い技術を使い分ける「テクノロジーマネジメントスキル」が求められます。
ピープルマネジメントスキル
チームメンバーの意欲を高め、それぞれのスキルを最大限に活かして成果につなげます。チームが良いプロダクトを生み出すためには、積極的に意見を出し合い、互いに高め合えるような雰囲気作りが大切です。リーダーはメンバーそれぞれに目を配り、組織として信頼関係を構築させる「ピープルマネジメントスキル」が必要です。
プロダクトマネジメントスキル
自社のビジョンをもとに、保有するリソースやビジネス的な観点を考慮してどんなプロダクトを作るか考えることを「プロダクトマネジメント」といいます。
ターゲットは不特定多数なのか、あるいは特定の人に限定するのかを分析し、ターゲットの顧客心理分析や仮説の検証を行います。
いずれもITの技術的な経験や知識だけでなく、ビジネスモデルやマーケティングの知識も活用しながら最適なUIやUXを実現することを目的とします。
プロジェクトマネジメントスキル
プロダクトマネジメントで決めた製品を、実際にどんな手順で作るかを考え、予算やスケジュールを組んで、エンジニアに業務を依頼します。
エンジニアが開発に集中できるように環境を整え、時には他部署と連携をしたり、メンバーのモチベーションを上げるべく職場環境を整えたりすることも行います。
チームが成果を出すために、プロジェクトに関わる全ての事柄をマネジメントするのが「プロジェクトマネジメント」です。
課題解決能力
上の4つのマネジメントを行うには、技術的な知見やコミュニケーション能力、企画力やスケジュール管理力などあらゆるスキルが必要ですが、いずれもトラブルに迅速に対応する「課題解決能力」が併せて重要になります。
どんなに入念に設計書を作って開発に取り組んでも、トラブルやバグの発生は起こります。
リスク回避や損失を最小限に抑えるリスクマネジメントや、組織が危機的な状況に直面したときの対応を考えるクライシスマネジメントなども学んでおくと、いざというときに迅速に対応できます。
リーダーでなくても、日頃から課題を分析して解決方法を考える習慣を付けておくといいでしょう。
言語化能力
エンジニアは、上流工程に進むに連れて様々な立場の人と接する機会があります。
特に、クライアントの要望や課題を聞いて解決策を提案する要件定義では、相手の知識レベルに合わせてわかりやすく説明する能力が求められます。
クライアントの課題や要望は抽象的であることも多く、自身でも明確になっていないことも少なくありません。それをくみ取って最適な解決策を見出してシステムを企画し、提案をわかりやすく説明する必要があります。
マネジメントスキルを学べる本
リーダーの方も、これから志す方も、マネジメントについて学んでおくと開発の現場に役立ちます。ぜひ参考にしてみてください。
『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス―テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド』
出版社:オライリージャパン/著者:Camille Fournier/2018年09月 発行
エンジニアの各キャリアパスにおいて、段階的に求められる役割やスキルをわかりやすく説明しているエンジニアマネジメントの代表的な書籍です。
著者は、自身のテックリードからCTOになった経験をもとに、機能不全に陥ったチームの立て直し方や自身の技術力の維持など、様々なハードルの乗り越え方を紹介しています。
マネジメントを志すエンジニアは必読の一冊です。
『マネジメント[エッセンシャル版]―基本と原則』
出版社:ダイヤモンド社/著者:ピーター・F・ドラッカー/2001年12月 発行
ドラッカーの書籍は、長年経営学者として経営者や管理職の人達からバイブルとして活用されてきました。本著は、自らのマネジメント論を初心者向けにまとめたマネジメント入門書です。
マネジメントが組織の成果のために取り組むべき仕事や役割、中長期的に考えるべき戦略について具体的に解説しています。
『パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学』
出版社:米田出版/著者:島宗 理/2000年3月 発行
行動分析学に基づいて、問題解決を記した書籍です。
「部下のマネジメント」や「品質のマネジメント」、「組織のマネジメント」など、様々なシーンにおいて生じる問題の解決策を学ぶことができます。
まとめ
エンジニアが年を重ねるに連れて、「自分の強みは何か」「どこで自分の価値を発揮できるか」というスキルの付加価値の有無が重要になってきます。
付加価値のひとつとして、マネジメント経験は避けては通れません。
例えば案件面談の場で、
「マネジメントを経験したうえで、自分は手を動かす方が向いていると思った」という人と、
「マネジメントは向いていないと思ったので、経験したことがない」
という人では、前者の方が説得力もあり好印象ですよね。
今は、PMやテックリード、CTOやエンジニアリングマネージャーなど、エンジニアを主軸においたマネジメントに関わる職種が増えてきており、エンジニアとしてプロダクトと向き合いながらマネジメント業務に就く方も増えてきています。
この記事が、自分に合ったキャリアアップの仕方を考えるきっかけになると幸いです。
マネジメント業務を経験できる案件に参画してみたい、今後のキャリアについて相談したいと思ったら、ぜひエージェントに相談してみてくださいね。
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