「エンジニアが開発に求められる視点とは」ジブンハウスインタビュー【前編】
「次の世代の暮らしの未来をつくる」というビジョンのもと、テクノロジーを駆使してスマホで自分らしい住宅を買えることを実現しているJIBUN HAUS.株式会社。
「家を買うには住宅展示場に行かなければならない」という従来の概念を根底から覆し、家を買う過程をとことん楽しく、気軽にするためのサービスを展開しています。
この素晴らしいサービスを提供するために、エンジニアやデザイナーの方々は何を意識して開発に取り組まれているのでしょうか?
技術選定や開発の軸をユーザーの目線に合わせていくこと、そして外部企業・人材との関わり方についてお話しを伺ってきました。
「ベンチャー企業の案件に参画したい」「斬新なサービスを提供している企業で開発をしてみたい」と思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
JIBUN HAUS.株式会社
次の世代の暮らしの未来をつくる」というビジョンを実現するため、テクノロジーを駆使して、人が自分らしい暮らしや生き方を見つけるサービスを複数の事業で展開しているハウジングテック企業です。
住宅ブランド「ジブンハウス」事業では、新しい家の買い方「スマートカスタム住宅」を展開しており、加盟店数は北海道から沖縄まで全国140以上にのぼります。
「MY HOME MARKET」事業では、日本ユニシス株式会社とともにバーチャル住宅展示場プラットフォームを展開しています。他にも、「VR・ARソリューション」事業や、地域の工務店の魅力を伝える「WARP HOME」事業を行っており、これらの事業を通じて、家づくりや住まいを選択する過程を新しいものにする体験を、社会の隅々にまで届ける挑戦を行っています。
ジブンハウスについて
住宅業界の課題に挑戦
ー『家はスマホで買う時代』というキーワードは印象的ですよね。斬新ですが、今の時代に合った住宅の購入方法だと思います。
家の購入を検討し始める20~30代の方々は、スマホでの購買行動が基本です。でも住宅業界はその流れに対応しきれていません。
ユーザーは自分の家を建てたいと思っても、何から始めればいいかよくわからないのが現状ですし、予算も不明瞭です。無駄な手間やコストが多くかかってしまうことも少なくありません。
その状況をなんとか解決したいと思ってジブンハウスを始めました。
ー家を建てたいと思ったときは、ひとまず住宅展示場に行くのが一般的ですよね。
住宅展示場の大半は、たくさん人を呼び込むことが目的になっており、展示されている建物の価格が明確になっているケースはほとんどないです。
その時点でユーザーには負担になっていますよね。共働きの家庭が多い中、足を運ぶ労力も必要になりますし、そもそも初めて家を建てるのに自分がどんな家を建てたいか、そして家を建てるには何が必要なのかもはっきりしていないので、まずはそこを明確にした方がいいと思います。そこが具体的にイメージできてから、実際にモデルルームを見に行くというステップが適しているのではないでしょうか。
でも実際は、展示場でハウスメーカーが売りにしている理想の住宅を提示されて、ユーザーは自身の予算感と擦り合わせてグレードダウンせざるを得ない状況も少なくありません。
そのスタイルで本当にユーザーが望む家を提供できるかどうかは疑問が残ります。
ー確かにオプションの追加や変更のたびに見積もり額が変わると不安になりますし、何度も聞くのもためらってしまいます…。
価格を明示せず、まずは来場して打合せしてから予算にあった建物を提案していく風潮がありますが、時代の流れに合わせてどんどんわかりやすくしていくべきだと思います。
実際に家を見に来る前の段階、スマホで情報収集する段階で、価格や部屋のイメージを明確にし、ユーザーが暮らしを自分でデザインしながら家を建てていくスタイルが理想だと思っています。
「スマホで家を買う」を実現する2つの機能
ー御社のサイトのVRは操作性が高く、精度が高いですよね!オプションの価格も明示されていて、見積もり額がすぐにわかる点も特徴的です。
ユーザーに暮らしのイメージをして頂くための機能として、主に「高精細VR」と「見積もりシミュレーション」の2つがあります。
ー高精細VRにはどんな技術を活用されているのでしょうか?
ジブンハウスのVRは、家の中がパノラマ式で表示され、行きたい視点をタップすれば360度パノラマで見られる仕様になっています。
CGモデリングのソフトとして3ds Max、照明の設定をしてテクスチャーを表現したり光沢感を演出したりするためにV-Ray、そして360度のパノラマWEBサイトとして書き出すためにPano2VRを使用しています。
ーVRソフトといえば、Unreal EngineやUnityが多く使われる印象があります。
Unreal EngineやUnityは、ゲーム業界では一般的に使われていますよね。ただ、我々のユーザーにはアンマッチな点がありました。
弊社のマーケティング調査によると、サイトに訪れるユーザーの7割がスマホやタブレットをご利用頂いていることがわかりました。PCを立ち上げて見るよりも、スマホやタブレットで気軽に見たいという方が多いんだと思います。
Unreal EngineやUnityではどうしても容量がかさんでしまい、使用するデバイスによっては動作が遅くなってしまいます。スマホでスムーズに高精細のVRを体験して頂けること、かつマルチデバイスで開発できることを条件に挙げると、先述の技術が適していると判断しました。
ーあくまでもユーザー視点で技術選定を行われるということですね。
家を購入される方に主導権を持っていただきたいので、普段ネットで買い物をするのと同じ感覚で、どんな家を建てるかを楽しんで検討して頂けるようにしています。
従来であれば、実際に何度もメーカーに打ち合わせに行ったり、家族間でイメージを伝えるためにイラストを活用したりしながら説明する必要がありますよね。それが、VRのURLを共有するだけで具体的にビジュアルをイメージできるようになります。
実際に、事前にVRで家の共有や検討を重ねてこられて、1回の打ち合わせだけで契約を決めた方もいらっしゃるんですよ。
ー家のような大きな買い物を1回で決められるなんて驚きですね!
今まで、VRはゲームやアニメーションの世界のものという印象が強かったかもしれませんが、ユーザーの日常にも技術が浸透してきた結果として実現できたことだと考えています。
ーサイトを見ていると、部屋に配置する家具やインテリアのイメージも湧いてきます。
今は家具も含めてモノがたくさん溢れている時代で、どんなものを選べばよいかわからないという方もいますよね。洋服でも有名なインスタグラマーの方が着ていて素敵だと思ったものを買うとか、共感したものを買いたいという方も少なくありません。
家や家具の購入でも同様で、検討する段階でそこまでイメージできることが重要だと思っています。
VRで具体的にイメージできていれば、なんとなく家具を買ってしまって実際に入れてみたら合わなかったなんて事態を防げます。
そういったユーザーにかかる無駄なコストを減らしていけるというのも、高精細VRのメリットです。
ーサイトでは見積もりもすぐにシミュレーションできるんですよね。
ジブンハウスは「価格を明確化する」×「セミオーダー型住宅」を大事にしているので、WEBサイト上で好みの外観やサイズ、テイストを選んでいき、クローゼットなどのオプションをプラスしていけば合計金額がわかるようになっています。
ー登録する前に金額がわかるというのは、ユーザーにとって非常に嬉しいです。
ユーザーはサイト登録をしなくても、まず価格を調べて目安を知ることができます。どこにどのくらいの金額が必要なのかの目途も付くので、よりイメージが具体化しますよね。全てスマホ上で完結するので、打ち合わせ回数を減らすことができるのも負担軽減につながると思います。
開発で意識するべきポイント
ユーザーのUXを実現するための開発を
ー御社では、開発においてどのようなことを意識されているのでしょうか?
開発者はつい「最先端の技術を使ってみたい」「こういうものを作ってみたい」といった自己満足のために開発を進めてしまうことがあります。
でも、ユーザーにとっては、最新技術を使って開発されたサービスかどうかよりも、サービスの充実度の方が重要ですよね。
いくら高度なVR技術を使っていても、映し出された部屋のインテリアのセンスが低かったり、コーディネートがいまいちだったりしては意味がありません。
家を建てるという目的を達成するには、理想の暮らしをイメージできることの方が重要ですから。
我々は、ユーザーに「この部屋にあのメーカーのソファを置いて家族でくつろげそう」とか「ここにはこの家具を置きたい」とかイメージしながらワクワクしてもらう体験を提供することに重点を置いています。
ーその体験を提供するには、どんな工夫をされているのでしょうか?
家の種類に合わせてターゲティングをしっかり行っています。
例えば単身で住まれる方であればテーブルにコーヒーを置いて出勤前の朝を連想させたり、お子様がいらっしゃるご家庭であれば食事の時間を演出することもあります。夫婦であればマジックアワーを大切に過ごせるような空間づくりといった具合に、ストーリー性をもたせてVRを作っていきます。
それにはCGの技術だけでなく、センスも非常に重要です。
ーゲーム業界で必要とされる技術とは異なった技術が必要になるのでしょうか?
ゲームのようなエンターテインメント業界では、VRやCGの技術がとても発展していて、最新技術も積極的に取り入れられていますよね。エンジニアも、キレイで精細なものを作りこむことを優先されることが多いと思います。
ただ、我々が大事にしているポイントは少し違います。
例えば、RPGゲームの先駆者的作品として「シェンムー」がありますが、そのゲームでは横須賀の街が如実に再現されています。
実は、弊社のメインデザイナーの一人が開発に携わっていたのですが、そのゲームが多くのユーザーに愛された理由のひとつに「リアリティの演出」があると考えています。
この「リアリティ」とは、20年以上経って劣化した建物の感じや、人が実際に住んでいたような「生活感」から生まれるものであり、そういった「現実感」や「リアリティ」は、人々の暮らしに関わる住宅をデザインする我々のサービスで非常に重要です。
消費者に合わせて技術の使い方をアダプトさせていく
ーこれからは、VR技術が日常にどんどん普及していく流れになりそうですね。
世界的ソーシャルネットワーク企業のMeta社(旧Facebook)の「メタバース」が世界的に話題になったように、革新的な技術の普及は進むと思います。
数年前では、ネットで物を購入することに対して「実物を見ずに買うなんて」という意識がありましたが、今は車もスマホでポチッと購入できる時代になっています。
そういった意味では、技術の発展に合わせて消費者も順応してきたと思います。
開発者も、消費者に合わせて技術の使い方をよく吟味しなければいけません。
ー開発の進め方も工夫されているのでしょうか?
そうですね。デザイナーやエンジニアのそれぞれの担当は分けていますが、イメージの擦り合わせと修正は何度も行っています。
出来上がってからも、小規模な改修から大規模な改修まで頻繁に行っていますね。
やはり「スマホで住宅を買う」という今までに無い住宅の探し方を提案しているサービスなので、ユーザーに気持ち良く使って頂くためのブラッシュアップは欠かせません。
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