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「エンジニアが知っておくべき本質的な考え方」ITIインタビュー

「心踊る未来をツクル」をミッションに掲げている株式会社ITI。 リリースしたスマートフォンアプリの累計ダウンロード数は3億5000万回を超え、いま勢いに乗る同社にはどのような開発スタイルや意識が根付いているのでしょうか。

今回は株式会社ITIのCTOである高橋様にお話を伺い、エンジニアとしての価値を上げるための本質的な考え方をたくさんご教授いただきました。エンジニアとしてさらにレベルアップしたい方、長くエンジニアとして活躍したい方はぜひ参考にしてみてください。

2012年6月設立。会社の原点であり主力事業であるスマートフォンアプリ開発では数々のヒット作品を手がけ、ハイパーカジュアルゲーム「Rescue Cut-なぞとき脱出ゲーム」は世界30か国でストアランキング1位を獲得。アプリ開発の他にも顧客管理システムの開発・運用受託、Webメディア運営およびインターネット広告事業、動画制作・プロモーション事業など幅広く手がけています。

ITIについて

ハイパーカジュアルゲームのパイオニア

ー御社は様々な事業を手がけていらっしゃいますが、スマートフォンアプリ開発が主力事業なのでしょうか?

そうですね。弊社はスマートフォンの普及にあわせ、ハイパーカジュアルゲームの提供とアプリ開発事業を主軸に成長してきた会社です。ハイパーカジュアルゲームとは、ユーザーの性別や年齢、国籍に関係なく遊ぶことのできるアプリです。弊社では今までに2000件以上のアプリを開発してきました。アプリの累計ダウンロード数も3億5000万回を突破しています。

ーすごいですね。なぜそれだけのヒットアプリを生み出せるのでしょうか?

たくさんのアプリを開発してきたことで、多くの社員が業種問わず、様々な知見をつける経験を積めたのが一番ですかね。社内で企画から開発まで一気通貫でできるのも強みだと思います。アプリ開発も創業当初はトップダウンで指示を出していましたが、今では、社員一人一人が主体性を発揮し、企画、開発、マーケティング、そして最終の数字にも責任を持って動いています。

自由な開発環境が魅力

ー御社では使用する技術はどのように選定されていますか?

言語の選定も、社員/業務委託問わず、担当エンジニアに任せています。基本的には、自由に選んでもらっていますが、できる限り標準でライフサイクルが長いものを選んでもらいたいのはありますね。ホットな技術はすぐ消えてしまう場合もあり、継続的に使うのは難しいですから。

ー自由に提案できるのは良いですね。一方で継続的に利用できる技術かを判断するのは難しいのではと感じました。

そうですね。なので、個々のエンジニアが提案する言語に対して「使うな」とは言いません。むしろ「新しい言語はどんどん使ってみて」と伝えています。もちろん、OEMの受託案件など、レガシーな技術を使って開発している場合は難しいと思います。それでも、社内でテストをする、自分たちが開発する環境を移してみるなど積極的にチャレンジするようにはしていますね。

エンジニアとしてスキルアップする方法

外部のコミュニティを活用する

ーエンジニアにとって技術をアップデートするのは不可欠だと思いますが、若い人で勉強の仕方がわからないという声も多く聞きます。高橋さんのおすすめの勉強法はありますか?

外部のコミュニティに参加してみてはどうでしょうか。技術力が高いエンジニアがいるコミュニティだと刺激をすごく受けるので、勉強になります。私自身も前職ではLinuxを開発していたこともあり、コミュニティによく参加していました。もう関わって数十年になりますね。今でも積極的に参加し、他社の社員と情報交換をするようにしています。

ーそのコミュニティではどのようなことをやっているのですか?

私が参加しているコミュニティは、コロナ前は全国各地でコミュニティの主催者が展示会を開催していました。大手企業のSIerからスタートアップ企業、フリーランスまで色々な方が集まっていましたね。フリーランスの人は、そこで大手企業の担当者と話して仕事をもらっているケースもありましたよ。

ーフリーランスの人はコミュニティに参加しないと損ですね。

そうですね。積極的に参加した方がいいです。フリーランスで参加している人は多いですよ。

ーちなみに自社社員が参加する場合、外部とのつながりを持つことで社員が離れてしまう懸念があると思います。高橋さんはどのように考えますか?

社内でそのように考える人もいると思いますが、考え方を変えれば、外部とつながりをもつことで優秀な人材を自社に呼べる可能性もありますよね。私はそのメリットの方が大きいと考えます。外部のコミュニティに参加して、自分たちの実力をアピールして「ITIにぜひ入社したい」と思ってもらえる会社にしたいですね。
そういった意味では、技術の発展に合わせて消費者も順応してきたと思います。

個人的な話ですが、前職で採用に関する印象的なエピソードがあります。前職はMacを使っていたのですが、私はLinuxで動かせたら面白いなと思ったので、自分で開発して、今でいうSNSに公開したことがあるんです。そしたらとても評判が良く、結果としてそのLinuxを商品として販売することができました。そのことがきっかけとなり、学生や他社エンジニアの応募が増えて、自然と採用もうまくいくようになったんです。このようなプラスの循環が生まれて、優秀なエンジニアが集まってくる会社が理想的だなと感じています。

上流工程を経験するなら会社員が有利

ー最近では、フリーランスになる人も増えていますよね。フリーランスと社員で能力の違いを感じることはありますか?

どちらかというとフリーランスの人の方が、技術的に秀でていたり、コミュニケーション能力が高い人が多い印象です。一人でやらなきゃいけないことも多いですし、競争環境にいるので自然とそうなるのかなと思います。

ーフリーランスになる前に経験しておいた方が良いことはあるのでしょうか?

フリーランスだとどうしても上流工程をやる機会が少なくなります。社内である程度揉んだ内容を、仕様の詳細に落とし込む作業を依頼することはありますが、要件定義などの上流工程は基本的にはフリーランスの作業範囲ではないと認識される企業が多いイメージです。

なので、フリーランスで上流工程に関わりたい人は、会社員のうちに経験をしてから独立した方が良いかもしれません。もちろんやる気次第では、一人で上流工程〜下流工程まで全部こなすことを提案する仕事の仕方も不可能ではないと思います。

フリーランスエンジニアに求める力

一番は実績。自分の頭で考えているかもポイント

ー御社では外部の人と一緒に開発をする機会は多いのでしょうか?

今は、20名程度の方がプロジェクトに参画してくださっています。社内でリファラル採用を推奨しているので、紹介で入社される方が多いですね。

ーフリーランスと社員で業務内容を変えていますか?

業務内容については、両者で特に線引きはしていません。あえていうなら、自社でプロダクトを作り、そのプロダクトで使用した技術を持ち続けたい場合は、なるべく内製化します。一方、世の中で一般的な技術でも自社にリソースがなければ、その技術を持つフリーランスの人に参画してもらっています。プロジェクトごとで最適なパターンを考えて変えていますね。

ー外部の方を選ぶ上でのチェックポイントはありますか?

基本的には過去に関わってきたプロジェクトで何をやってきたのかをみます。やはりスキルは重要ですね。私の場合はスキルを確認するために、経歴書を見ながら「この技術のこういったところが嫌いなんだけど、どう思う?」と話を振るようにしています。その際、自分の頭で考えずに仕事をしている人は、答えに詰まってしまう人が多いです。逆に自分の言葉で、意見を言ってくれる人はエンジニアとしての基本スタンスを理解しているなとわかります。

ー現場の指示どおりやりましたって人は多いですもんね。

そうですね。実際、最近は何か不明点があってもネットを探せばいくらでも解決策が出てくる時代です。「コピペで動いたからいいや」と済ましてしまうと危険ですよ。誰もそのシステムがなぜ動いているのかを説明できなければ、問題が発生した時に困ります。事前の予防策が打てないので、問題が発生する確率も高くなりますよね。ネットを活用するのは良いことですが、創意工夫が必要な部分は自分の頭で考えなければいけません。

決まりきったことができるだけでは難しい

ー採用試験で技術力のテストを実施する企業様もありますが、御社でも取り入れていますか?

弊社では取り入れていないですね。プログラミングの技術テストは、指示通りにコーディング作業ができる人を見極めるのには良いと思います。ただ、それは最低限のレベル感だと思うので、高いレベルの見極めをする場合には向かないと考えます。
誰でもわかるレベルに商品の仕様書を落とし込める会社なら、そのような方にも依頼しやすいですが、我々のようなスタートアップ企業ではとてもそこまで細かく仕様を決められません。決まりきったことができるだけでは、フリーランスで多くの仕事を取るのは難しいと感じます。

年齢や国籍について

ー年齢が若い人を優先して採用したいと考える企業様も多いですが、御社ではどのように考えますか?

弊社には年齢が高いエンジニアも多いので気にしていないです。むしろ社内の採用でいえば、これからは経験を積んだ年齢が上の人を採用する必要があるのかなと考えています。ベテランのエンジニアに入っていただき、ぜひ社内人材のスキルアップに協力いただきたいですね。

ー年齢で断られてしまう場合も多いので、今のお話しは希望を感じる方も多いのではないでしょうか。ちなみに外国籍の方の採用についてはどうお考えでしょうか?

国籍も問わないですね。日本語が不自由な人もいますよ。実際、技術的な話ならプログラミングと筆談で対応すればどうにかなると思っています。私自身、英語が話せないまま海外勤務に就いたことがありましたが、エンジニアと打ち合わせする時はそこまで困りませんでした。むしろ、フィーリングやニュアンスに頼ってしまうことで、コミュニケーションエラーが起こるという考え方もあるのではないかと思います。ニュアンスが伝わるに越したことはないですが、流暢に話せるかよりも、ロジカルに伝えられるかの方が重要だと思います。

取材を終えて

今回お話を伺って、エンジニアとしての価値をあげるための本質的な考え方をたくさんご教授いただきました。常に自分の頭で考える癖をつけること、外部と積極的につながり技術力に磨きをかけること。フリーランス・社員問わず、年齢を重ねても長く活躍し続けるエンジニアを目指すのであれば必須の考えではないでしょうか。技術力があれば年齢や国籍関係なく評価してもらえる社風も素敵だなと感じました。

前職でLinuxを開発されていた高橋さんだからこそ語れる説得力のあるエピソードも多く、日々多くのエンジニア求職者と向き合うエージェントとしても非常に勉強になりました。

エンジニアとしての今後のキャリア形成の参考にしていただけたら幸いです。 快く取材に応じて下さった株式会社ITI CTOの高橋さん、貴重なお話をありがとうございました!

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