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IT業界フリーランス実態調査第1弾

2021/11/29

「フリーランスに安定したキャリア形成」を掲げるフリーランスコミュニティHORNOでは、フリーランスのキャリア形成の参考情報として、IT業界/エンジニアの皆さまの業務実態調査を定期的に実施、公開していきます。
今回は調査第一弾として、

フリーランスになる理由/きっかけは?
フリーランスになって良かったこと/悪かったことは?
フリーランスの年収実態は?フリーランスと正社員で年収分布はどう違うか?

などなど、フリーランスで働くIT従事者/エンジニアの実態について、気になる内容を調査しました。

調査結果サマリー

  • フリーランスになった理由No1は「自由に働きたい」。一方で解雇や倒産、体や心の不調等「仕方なく」フリーランスを選択した方も多数。「稼げるから」は少数派。
  • 「フリーランスになってよかった」方は全体の63.3%と多数派で、「フリーランスになってよくなかった」方は、わずか8.9%。
    一方で、フリーランスの生活に不安感を感じている方も全体の79.6%と非常に多い。
  • 正社員に比べ、フリーランスの年収は300万円未満の方が多い一方で、1000万円以上のプレイヤーの率も高い。但し、300万円未満の方でも「フリーランスになってよかった」と回答する方は非常に多く、年収と満足度は比例しない傾向。
調査概要
  • 調査モニター:fastaskモニター
  • スクリーニング調査:20代~50代のモニター25,826名に調査
  • 本調査:IT業界で勤務している×フリーランスで勤務していると回答した方165名に調査
  • 対象職種:サーバーサイドエンジニア、フロントエンドエンジニア、サーバーエンジニア、ネットワークエンジニア、データベースエンジニア、データサイエンティスト/データアナリスト、AI/機械学習エンジニア、エンベデッド(組み込み系)エンジニア、ゲーム(ソーシャルゲーム)エンジニア、ゲーム(コンシューマ)エンジニア、IT系コンサルタント、セールスエンジニア、テストエンジニア、社内SE、プロジェクトマネージャー、PMO、Webデザイナー、Webコーダー、Webディレクター

目次

  1. 調査結果①フリーランスになった理由/きっかけは?
  2. 調査結果②フリーランスになって良かったか?
  3. 調査結果③フリーランスの年収は?
  4. まとめ

調査結果①フリーランスになった理由/きっかけは?

今回の調査では、フリーランスになった理由を自由回答(フリーアンサー)で聴取し、その回答を編集部側でいくつかのカテゴリにわけて、集計をおこないました。

理由/きっかけまとめ

早速結果をみていきましょう。

Q:あなたがフリーランスになった理由について、なるべく詳しくお答えください。

※「無回答/特になし」49件、「その他」6件を除いてグラフ化

自由に働きたい/組織に向いていない・縛られたくない、という回答が42件と圧倒的に多くなりました。時間や場所を選ばず自由に働きたい、縛られたくない/管理されたくない、という傾向は、一般的なフリーランスのイメージにも近い回答ではないでしょうか。
次いで、解雇・倒産・失業などでやむを得ずフリーランスになったという方も19件と多くみられました。育児や介護など家庭の事情や、体・心の不調によりフリーランスを選択された方も一定数みられ、必ずしもポジティブな理由でフリーランスになる方ばかりではない、ということもわかります。
反面、どこまでやれるか自分の力を試したい/挑戦したいといった方も10件と一定数みられました。
また、意外だったのは、高単価・稼げることを理由にフリーランスを選ばれた方が非常に少なかったこと。今回の調査は自由回答での調査でしたので、まず思い当たる純粋想起の理由として、「お金」を出す人が少なかったということかもしれません。選択式の設問であれば、お金の項目も高く出る可能性はあるかと思います。

きっかけ/理由の詳細

ここからは、それぞれの回答を細かくみていきましょう。

第1位:自由に働きたい/組織に縛られたくない・向いていない 42件

  • 時間を自由に過ごすことができる。(50代_サーバーサイドエンジニア)
  • 時間の使い方を自分で決められるような働き方がしたかったため(20代_WEBディレクター)
  • 企業に縛られず自由に時間を使えるから。(40代_WEBコーダー)
  • 人の下で働きたくないから(20代_WEBデザイナー)
  • 通常の企業の決まった働き方が非常に苦手だった為(30代_テストエンジニア)
  • 組織に所属したくないから(40代_フロントエンドエンジニア)

時間や場所に縛られずに仕事をしたい、誰かの下で働くのが嫌、組織に向いていない、等の意見が多く見られました。多様な働き方が推奨され、リモートワークも加速している現状をみるに、今後ますますこういった流れは加速していきそうですね。

第2位:解雇・倒産・失業 19件

  • 前職を会社都合で解雇になり、就職活動に時間がかかるから(50代_フロントエンドエンジニア)
  • 会社勤めをしていたが倒産したためフリーになった。会社という存在が稀薄になったため、自分一人でやっていく覚悟を決めた(50代_セールスエンジニア)
  • 正社員で勤めていた会社で、フリーに転向させられた。(50代_社内SE)
  • 会社の業績が悪くなり、社長から取引先として独立を勧められた。(50代_IT系コンサルタント)
  • 新卒の就活で上手くいかなかったから(30代_WEBデザイナー)

フリーランスになりたくてなったわけではない、という方もかなりの数いらっしゃるのが実情のようです。特に50代の方が多くこの理由を回答されていました。

第3位:独立・起業・力試し 10件

  • 自分の力でどこまでいけるか試したかったから(30代_社内SE)
  • 会社を辞め、法人起業を目指していたが断念し、そのままフリーで食べて行けるところまで行こうと思ったから。(40代_社内SE)
  • 独立したかったので(30代_WEBデザイナー)
  • 経営してる会社があるため(20代_エンベデッド(組み込み系)エンジニア)

起業を目指して会社をやめた方や、自分の力を試すため、という理由でフリーランスの道を選ばれた方も一定数みられました。実際に起業された方、起業を断念された方等その後の選択は様々ですが、どこまでやれるか挑戦したいという想いがある方が多いようです。

その他

4位以下の理由に関しても、特徴的な回答をいくつか見てみましょう。

  • 前職を退職しようと準備していたら、面白そうな業務委託の仕事を紹介してもらったので。(50代_ネットワークエンジニア)
  • 副業として始めて、軌道に乗ったから。(30代_Webデザイナー)
  • 前職のサービス残業がひどかったので(40代_サーバーサイドエンジニア)
  • 子供が産まれ、自由に仕事できる環境を整えたため(20代_サーバーエンジニア)
  • 鬱による正社員リタイア後、回復したときには年齢的に正社員採用が望めなかった(40代_ネットワークエンジニア)
  • 単価が高く、雑務がないから(40代_ゲーム(コンシューマ)エンジニア)

4位以下のフリーランスになろうと思った理由では、紹介された仕事が面白そうだったからといった理由や、副業が本業になったパターン、家庭の理由等、様々な理由でフリーランスを選択されている傾向がみられます。残念ながら、前職の環境が劣悪だった方や、体調やメンタルを崩された等、辛い思いをされてフリーランスを選択された方も一定数みられました。

調査結果②フリーランスになって良かったか?

2つ目の調査結果として、フリーランスになって良かったかどうかと、その理由についてみていきましょう。

フリーランスになって良かったか?

Q:あなたは、フリーランスになって良かったと思いますか?あなたのお気持ちに最も近いものをお選びください。

よかったと回答している方が多数派で、63.3%の方は良かったと回答しています。
また、よくなかったと答えている回答はわずか8.9%です。
更に、先ほどの調査①の結果で、「解雇・倒産・失業」きっかけでフリーランスになったと回答している方のみを抽出しても、なって良かったと回答している方の割合は52.6%、よくなかったと答えている回答は15.8%となっており、仕方なくフリーランスになった方でも、なってみるとフリーランスの満足度は高いと言えそうです。

フリーランスになって良かった理由/悪かった理由

次に、良かったと回答している方、悪かったと回答している方それぞれの理由をみてみましょう。

フリーランスになって良かった理由(自由回答)

フリーランスになって「とてもよかった」「よかった」と回答されている方の自由回答のうち、特徴的なコメントを抜粋しました。

  • 平日の昼間でも自由。電車一本乗り遅れることへのプレッシャーなどがない。嫌な人と付き合わなくてよい。(40代_IT系コンサルタント)
  • 自分の生活などのペースに合わせて仕事の内容や就業時間を設定できるから(50代_社内SE)
  • 収入が激減したけど自由だから(40代_WEBデザイナー)
  • 他の責任を負う必要は無いし、ナンセンスクレームからも逃れられた。報酬は下がったけれど、精神的にかなり楽になった。(40代_IT系コンサルタント)
  • 組織内の人間関係の煩わしさがなくなった。いやな仕事を押し付けられることはなくなり、自分で納得できた仕事を自分で取りに行ける。(50代_ITコンサルタント)
  • 勤めているとやって当たり前とどんどん要求がエスカレートし、勤務時間外も無給で作業させられたりといったことがあったが、フリーだと自分の時間配分で作業ができ、向上心も増える。(40代_WEBコーダー)
  • 自由になると共に周りの繋がりもさらに強くなり、より大きな舞台やチャンスを掴むことができたからです。(20代_フロントエンドエンジニア)

総じて、「自由」「ストレスがない」「嫌なこと/非効率なことをしなくてよい」等の理由が上位にあがっています。「収入があがった」ことを回答される方もいる一方で、「収入は下がったが精神的には楽」等の回答もみられました。

フリーランスになって、どちらともいえない/よくなかった理由

フリーランスになってよくなかったと回答されている方は少ないため、「どちらともいえない/よくなかった」とお答えの方、双方の理由をみていきましょう。

どちらともいえない理由
  • 常に仕事・収入があるか不安定、思い通りに休みが取れないが、ちょっとした時間は自由にとれるので、良い悪いがあるので(50代_フロントエンドエンジニア)
  • フリーの方が気楽。同じ仕事をしても、フリーの方が実入りが多い。正社員でいる方が、保険保証等セーフティネットの面からは安心感がある。(50代_データベースエンジニア)
  • 結局自分自身で決められることは少なく会社勤めよりしんどい部分が多い。ただ会社に縛られないことを考えると1人がいいと思う(50代_セールスエンジニア)
  • 自由な時間が増えたがお金の心配が増えたから(40代_フロントエンドエンジニア)
よくなかった理由
  • 私には、会社員が向いていた(20代_サーバーエンジニア)
  • 収入やクライアントとの関係面で極めて不安定であり、常勤雇用に戻れるものなら今すぐにでも戻りたい。(50代_フロントエンドエンジニア)

どちらともいえない/よくなかった理由としては、「不安定」「保証がない」等のコメントが多くみられました。数は少ないですが、自由とはいっても「自分自身で決められることは少ない」というコメントがあったことも印象的です。
他の質問への回答でも、クライアントさんや人間関係への言及は複数みられましたが、仕事である以上、いくらフリーランスでも自分一人だけで完結するものは少ない、ということかもしれません。

フリーランスに不安はあるか?

次に、「フリーランスとして働く中で、不安を感じることはありますか?」という質問をしてみました。その結果がこちらです。

Q:フリーランスとして働く中で、不安を感じることはありますか?

不安を感じている方が79.6%と高い数値となりました。先ほどの質問では、「フリーランスになってよかった」と答えている方が多い反面、不安もまた大きいことがわかります。あまり不安を感じない/全く不安を感じない方は、15.9%と少数派となりました。

フリーランスに不安がある理由

次に、具体的にどんな点に不安を感じているか、代表的な回答をいくつかみてみましょう。

  • 収入が月によって安定しない。今後いつ契約を切られるだろうと不安になることがある(30代_WEBデザイナー)
  • 自分自身が健康でないと顧客に迷惑をかけること。企業内で業務をシェアできないため、将来の裾野が広がらない点。(50代_プロジェクトマネージャー)
  • 収入が安定しない点アパートなどの入居が難しい点(20代_WEBディレクター)
  • 契約終了後については何ら保証がなく、仕事を失えば収入ゼロであること。また、病気や怪我等で離脱した場合は、長期的に収入ゼロの状態が続く上、社会保障も存在しない。(40代_ネットワークエンジニア)
  • 仕事がない期間の保証(50代_サーバーサイドエンジニア)
  • いつまで通用するか(20代_セールスエンジニア)

「収入が不安定/継続しない」「体調を崩した際等の保証がない」などが多くあげられました。多くのフリーランスの方は、案件がいつ途切れるかという不安感と闘っている実情がみてとれます。自分が体調を崩すと、収入がなくなるということや、仕事に関しても迷惑がかかるといった回答もみられ、健康管理への高い意識も見受けられました。
また、スキルや知識といった点でも不安を感じている方が一定数いるようです。企業内での共有がないため、自ら積極的に情報収集やコミュニティなどに参加する等の活動が、正社員に比べてより求められるのかもしれません。

調査結果③フリーランスの年収は?

今回の調査報告の最後のテーマ、フリーランスの年収と、正社員の年収を、比較してみましょう。

フリーランスの年収は?正社員との比較

Q:あなたの現在の年収について教えてください。(手取りの年収をお答えください。)

正社員に比べて、フリーランスは年収300万円未満の方が多い傾向にあります。一方で1,000万円以上の高所得層も正社員に比べると割合が多くなっています。フリーランスの方は、中間の所得層が薄く、高所得者と低所得者に2極化している傾向がみてとれます。今回の調査では、フリーランスの方に、時短や週2日勤務等、フルタイム勤務ではない方が含まれることや、エンジニア以外のクリエイター職(WEBデザイナー等)の方が含まれるため、300万未満の比率が高くなったと推察されます。この点は、今後の調査や追加分析でまた検証していければと思います。

年収の違いがフリーランスの満足度に与える影響

300万円未満の年収が多いという傾向がみてとれましたが、年収の違いは「フリーランスになってよかったかどうか」に違いを与えているのかを集計してみたところ、下記のような結果となりました。

Q:あなたは、フリーランスになって良かったと思いますか?あなたのお気持ちに最も近いものをお選びください。

年収が高いほど満足度も高いという結果になるかと思いきや、年収が300万円未満の方が、「とてもよかった」の回答率が最も高いという傾向になっています。先ほどの調査でみた通り、フリーランスになって良かったとお答えの方は、「自由な働き方」や「ストレスのなさ」等の理由が多いため、年収の高低によって、満足度にはあまり大きな違いがないのかもしれません。
フルタイムで働かれているかどうかや、家庭環境や体調などのご事情、職種や言語経験等、様々な要因で満足度の違いは生まれていると推察されますので、一概に年収は関係ない、とは言えませんが、この点は、今後も調査や集計で深堀りをしてみていきたいと思います。

まとめ

今回は、第1回IT業界フリーランス実態調査として、フリーランスになった理由や満足度、年収等、基礎的な質問に絞って結果をまとめました。今回の調査の要点を、再度おさらいしたいと思います。

  • フリーランスになった理由No1は「自由に働きたい」。一方で解雇や倒産、体や心の不調等「仕方なく」フリーランスを選択した方も多数。「稼げるから」は少数派。
  • 「フリーランスになってよかった」方は全体の63.3%と多数派で、「フリーランスになってよくなかった」方は、わずか8.9%。
    一方で、フリーランスの生活に不安感を感じている方も全体の79.6%と非常に多い。
  • 正社員に比べ、フリーランスの年収は300万円未満の方が多い一方で、1000万円以上のプレイヤーの率も高い。但し、300万円未満の方でも「フリーランスになってよかった」と回答する方は非常に多く、年収と満足度は比例しない傾向。

今回の結果から、自由に働きたい/組織に縛られたくない、という想いがある方は、フリーランスに向いていると言えそうです。また、収入をあげたい、という目的でのフリーランスはなかなか厳しい実情が見受けられました。
また、「フリーランスになって良かった」と思う方は多い一方で、そのような方でも、案件の継続や収入に対する不安は感じざるを得ない、という実態もみえてきました。

「フリーランスに安定したキャリア形成」を掲げるフリーランスコミュニティHORNOでは、そんなフリーランスの皆さまの不安に寄り添い、多様な働き方を実現するキャリアサポートもおこなってまいります。
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次回の調査報告では、性年代や事業規模、言語経験等で、どのように年収や満足度等の回答が異なるのか、更に深堀りした調査報告をお届けできればと思います。お楽しみに。

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