フリーランスエンジニアに求められるスキル
2022/09/09
エンジニアには、正社員で働く場合や案件ごとに携わるフリーランスとして働く場合などと様々な働き方があります。
その中でも、自由な働き方をしたいから、あるいは高収入を得たいから、といった理由でフリーランスを希望する方も多いと思います。
ただ、ITスキルがあればフリーランスとして一生安泰というわけではありません。
この記事では、実際のフリーエンジニアの方の収入の実態を紹介しつつ、フリーランスエンジニアに必要なスキルについてお話します。
フリーランスになる前に必要なスキルを把握したい、今の自分はフリーランスになっても大丈夫なのか考えたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
フリーランスエンジニアの実態
まず、実際にフリーランスエンジニアとして活動する2名の例を紹介します。
【28歳・単価100万円の方の例】
フロントエンドエンジニア歴3年
React.js、Vue.js両方経験あり
Next/Nuxtも押さえている。
この方は、フロントエンドの最新技術React.js、Vue.js、Next/Nuxtを経験していて、それだけでも貴重。80万円程なら狙える単価ですが、プラスαがアピールポイントに。
そのプラスαとは、技術選定から経験していて技術に関する知見が深かったこと。
自己学習による知識も多く、面談で多くをアウトプットできたことが単価100万の決め手に。
こういうエンジニアなら、営業側も自信をもってクライアントにプッシュできるので高収入に繋がりやすい人材です。
【48歳・単価50万円の方の例】
業務系Javaエンジニア
リーダー経験は無く、基本設計~経験が少しあり
フレームワークの経験はほとんど無い
開発より保守がメイン
この方はSIer系で探していましたが、この年齢で保守以上の経験が無く上流経験やPL経験も無かったため、紹介できる案件がかなり限られ、ようやく単価50万円の案件が見つかった、といった感触。
案件を選り好みしていて、ちょこちょこ空白期間があった点もマイナスでした。
40代後半で単価50万円がやっとというエンジニアがいる一方で、20代で単価100万円も獲得しているエンジニアもいます。これほどまでに差が出るのはなぜでしょうか。
次からは、フリーランスエンジニアには、どんなスキルが求められるのかについてお話していきます。
フリーランスエンジニアに必要なスキルとは
最低限必要な5つのスキルセット
フリーランスのエンジニアには、最低限必要とされるスキルが5つあります。
大前提!IT実務スキル
フリーランスエンジニアになるには最低でも1~2年間のPGとしての実務経験があり、Web・アプリなどの開発、設計、運用、管理などの経験が必要です。未経験でいきなりフリーランスになるのは難しいでしょう。
自分の保有するスキルや開発環境・ツール、今までの業務の進め方、そして今後どの分野でスキルアップしていくのか、といった「スキルの棚卸し」をしましょう。
自己管理能力
フリーランスになると、自分でキャリアプランを練り、案件を選んで経験を積み、自分でスキルアップを図りながらキャリア形成をしていきます。
収入が不安定になることを恐れて、依頼された案件をただこなしていくエンジニアと、自分でキャリア形成しながら案件を選択していくエンジニアでは、将来は違ったものになるでしょう。
また、請求書作成・発注・入金、経費の領収書管理など、本業以外にも業務はたくさん。本業にばかり気を取られていると、確定申告の時期に非常に苦労します。
コミュニケーション能力・自己PR能力
新型感染症の影響で、業務委託の案件でも在宅勤務がメジャーとなりました。
そのうえ、PGのような手を動かす系の業務であれば、コミュニケーション能力に自信が無くても大丈夫と思う方もいるでしょうか。
実はフリーランスになると、会社員以上に高いコミュニケーション能力が求められます。
ポートフォリオの作り方はもちろん、案件を受注するための面談では、セルフブランディングをして自分を売り込む営業力が必要です。エージェントを利用すれば営業のサポートはしてくれますが、面談ではご自身のトーク力が合否を左右します。
また、業務開始後もクライアント先とのやりとりは必須です。
会社員なら上司がフォローしてくれることも、フリーランスなら自分で対応しなければなりません。
課題解決能力
年齢が上がるにつれて 高い課題解決能力が求められます。
コーディングや詳細設計に携わるうちは、仕様書をもとに記述を進めることに従事できるかもしれませんが、30代を過ぎると基本設計~を対応することが大半です。
要件定義以降になると、クライアントの状況を把握・整理し、どのように問題に対処していくのか、必要な機能は何なのかを企画・提案する必要が出てきます。
指示通りに動くのではなく、自ら戦略的にプロジェクトを遂行する能力が求められます。
学習能力
高収入を稼げるエンジニアになるかどうかは、「学習能力」が明暗を分けます。変化の早いIT業界では「このスキルを保持していれば絶対安泰!」というものはありません。
自分のスキルに満足せず、今後どんなスキルが求められるのか、注目されている言語は何か、といったトレンドや需要に詳しくなっておきましょう。
年代ごとに求められるスキルも変わる
20~30代のうちに基本設計~は経験しよう
20代で詳細設計ができれば案件は獲得しやすく、さらに20代後半で基本設計までできるとかなり有利になります。
遅くとも30代後半には基本設計~の経験をしていることが重要になってきます。
40代~は詳細~要件定義・PL/PMの経験は必要
40代で詳細設計の経験しか無い場合、収入UPどころか案件を見つけることも困難になってきます。年を重ねるほど、上流経験・要件定義はもちろんのこと、PL・PMいずれかの経験をしていた方が良いでしょう。
50代以降となると、上流経験だけでなく、下流もしっかり把握していることに加え、最新の技術まで対応できると重宝されます。
エンジニアの中には、「人との交流を減らしたいからずっとPGでいたい」という方もいるかもしれません。ただ、どの仕事でも要件定義の作業はありますし、ある程度の年齢を過ぎるとPL・PM経験はしていて当然とされます。
例えば難易度の高いAWSのプロフェッショナルを保有していたり、希少性の高い技術が扱える、といったアピールポイントが無いと「向上心の無い人なのかな」という印象になると心得ておきましょう。
エンジニアの職種ごとに求められるスキル
エンジニアには様々な職種があり、またどこで働くかによっても求められるスキルが変わってきます。
まずは、フロントエンドとバックエンドごとに必要な技術についてお話していきます。
フロントエンドとバックエンドに求められるスキル
ユーザーがPCやスマホ画面から直接目にしている画面を処理するフロントエンドと、その情報を提供するバックエンド。それぞれに特徴があります。
フロントエンドに求められる技術
フロントエンドは、Webデザイナーが作ったデザインをもとにコードを記述してWebページを作成し、私たちが普段目にするWebサイトを作っていきます。
【主に使用される言語】
HTML/CSS・JavaScript・React.js・Vue.js・Next・Nuxtなど
Webサイトの構成やデザインを編集するうえで「HTML/CSS」・「JavaScript」は、必ず使用するメジャーな言語です。フレームワークの「React.js」・「Vue.js」・「Next」・「Nuxt」も注目されていて、フロントエンジニアとして収入UPを目指すのであれば、習得は必須といえます。
バックエンドに求められる技術
要件定義の後にバックエンドやインフラエンジニアが設計を開始してプロジェクトがスタートするので、上流業務から担当することが多い職種です。
【主に使用される言語】
Java・Ruby・PHP・Python・Node.js・Go・クラウド系技術など
Java
楽天や三菱東京UFJ銀行といった大手企業の業務システム、TwitterのようなWebサービス、オフィスソフトのOpenOffice、そしてAndroidアプリのほとんどがJavaで作られています。
モダンな言語というわけではありませんが、汎用性が高く処理速度が早い、安定性がある、セキュリティ性が高いという特徴があり、世界的に多く使われている言語なので知っておいて損はないでしょう。
Ruby
Webアプリケーションの開発に向いている言語で、ニュースアプリのグノシーやグルメ情報サイトの食べログ、通販価格比較サイトの価格ドットコムなどでも活用されています。
Web自社開発企業でも多く使われており、Web系企業でのエンジニア経験を積む取っ掛かりとしても持っておくと良い言語です。
ただ、StackOverflowやGitHubといった世界的なアンケートによると人気は下降ぎみ。今後はメイン言語として使われることは減っていくかもしれません。
PHP
PHPは、SNSではFacebook、ビジネスチャットツールのSlack、そのほかクラウドファンディングサイトのCAMPFIRE、その他ソーシャルゲーム開発などで活用されています。
閲覧者に合わせて表示内容が変わる動的なコンテンツを作るのに向いている言語です。Web系の高単価案件では活用されることは少ないですが、ソーシャルゲーム開発に携わりたい方には必要な技術です。
Python
Webアプリケーションの開発、機械学習、組み込み開発などに対応する言語で、人工知能AIやビッグデータなどの分野で重宝されています。
主に動画サイトのYouTube、オンラインストレージのアプリDropbox、機械学習分野ではPepperなどに活用されています。
機械学習系の開発に携わるには必須の言語となります。
Go
Googleがより効率よくシステム構築をするために開発した言語です。
システムの高速処理が可能、膨大なデータを扱うサービスが得意、保守性・安全性が高い、学習コストが低いなどとメリットが多く、Webサービス、自社のプラットフォームの設計開発、Webサーバの構築に今後メインで活用されると予想されます。
フリマアプリのメルカリ、グルメサイトのぐるなびのほか、料理サイトのクックパッドなどで活用されています。
クラウド系技術
世界中の大企業だけでなく公的機関、Web系企業などで最も多く採用されている「AWS」。
Webサイトの構築・運用からビッグデータの蓄積・運用、総合開発環境の構築まで、幅広く対応しているパブリッククラウドで、導入する企業が次々と増えています。
Web系企業だけでなく、金融機関にも導入が進むなど、ますますスタンダードになっていきそうです。
今後、クラウド系技術の代表格AWSの知見が無いとキャリアップ・高単価案件獲得は難しいといえます。
フロントエンドは、メイン言語がある程度決まっていますが、バックエンドは技術の進化が非常に速いのが特徴的です。現在使用している言語が、今後も長く使われる言語かどうかを見極めるための情報収集は必須です。
フロントエンド・バックエンド両方に必要なスキル
フロントサイドからサーバーサイドに機能を渡すこともあれば、サーバーサイドからフロントサイドへ表示させる機能を作成することもあるため、両方を理解しておく必要はあります。
また、今後クラウドはますます重要度が上がるため、AWSの使用経験が無いとそもそも選考の土俵にも立てません。
クラウド系技術には、AWSのほか、Microsoft Azure、Google Cloudがあります。もし実務経験が無くても、自宅で学習できるため独学で習得を目指しましょう。
Web系とSIer系に求められるスキル
企業のスタートアップに開発者として関わることが多いWeb系エンジニアと、SIerでチームの一員として働く場合とで求められる技術は異なります。
即戦力を求められるWeb系
Webサービスを自社で開発している企業では、SIerのようにチーム内でベテランエンジニアにサポートしてもらえる、といったことはなく、即戦力が求められます。
フロント・バックエンド両方の知見があり、開発から設計、全体管理まで幅広く対応できる1人で何役もこなせるフルスタックエンジニアが重宝されます。領域はECサイトのサービス構築、スマホアプリやゲーム開発、機械学習など多岐に渡り、常に最新の技術に関する知見が求められます。
経験が浅くても案件獲得しやすいSIer系
SIerには、主にメーカー系・ユーザー系・独立系の3つのタイプがあります。
親会社から派生してできたメーカー系・ユーザー系のSIerでは、親会社の専門的な技術をメインに扱い、上流工程を担当することも多いです。
上流の方は高収入を望めますが、独立系SIerではユーザー系の下流案件を請け負うこともあり、2次請け・3次請けと下にいくほど報酬は減っていきます。
SIer系の特徴的なメリットとして、経験が浅くてもチームで動く案件なら採用されることがある、という点が挙げられます。様々なSIer企業を経験しながら、少しずつ上流工程・マネジメント経験を積んだあと、Web系に移行するというのは若手の方にオススメのキャリアアップ方法です。
フリーランスエンジニアのスキルアップ方法
高収入エンジニアがやっていること
冒頭で紹介した20代で単価100万円を得ているエンジニアは、どんな工夫をしているのでしょうか。
Web系企業で特に注目されている言語React.js、Vue.js、Next、Nuxt全てに精通している点や、技術選定も経験していることから「トレンドを押さえている」「技術に対する知識が深い」「マネジメントも任せられそう」と希少性の高いエンジニアと判断されました。
20代でフロントエンジニア経験は3年、と一般の会社では経験が浅い印象ですが、それをはるかに上回る知識があり、自己学習において、実際に手を動かす努力も怠らない姿勢も評価されています。
業務しながらスキルアップも
フリーランスエンジニアは、基本的にその分野のプロとして扱われるので経験不足は通用しません。
ただ、チームで動く現場であれば、得意な分野を担当しつつ、未経験分野は得意な方に教わりながら業務経験を積む、ということができる場合も。
また、フリーランスは本業以外にも他ジャンルの副業も自由にできます。
エンジニアとしてこれまで培ってきた経験や知識を活かして専門的なライティングをするエンジニアライターや、ITの講師として働くこともできます。
雑誌・書籍から正しい情報を得る
プログラミングの参考書や技術系雑誌が多く出版されています。
特に、雑誌は幅広い技術に関する新しい情報が載っているので、そこから興味がある技術を見つけて独学を始めてみるのもいいでしょう。
『O'Reilly』シリーズのような資格取得を目的とした教材は、学習教材としても参考になるので積極的に活用しましょう。
学習・動画サイトを利用する
動画サイトでは、初心者~上級者まで幅広いレベルの動画が無料で多く公開されています。
特にYouTubeには、エンジニアの種類からトレンドの言語についての動画、エンジニア同士の対談など、様々な動画があります。実際にエンジニアとして活躍している方の生の声を聞けるので、参考にしてみてください。
初めて扱う言語は、動画を見てイメトレをしつつ独学できるかどうかを見極めて、実際に構築してみましょう。
多くのエンジニアが活用しているサイトが「Udemy」。
Udemyはベネッセがパートナー展開しているサイトで、15万以上のオンラインビデオコースが用意されているので、AWSはもちろん、マイナーなスキルも習得可能です。
エンジニア向け情報サイトを利用する
エンジニア向けの情報サイトを複数随時チェックしておくと、IT業界の最新トレンドについて詳しくなれます。
DevelopersIO
「やってみた」系のブログ風の技術メディア。実際にエンジニアが使ったIT技術や体験したことを掲載し、わかりやすく画像や手順を載せているのでその分野に初心者でも利用しやすいのが特徴です。
情報量も豊富で、AWSに関する記事は約15,000本も掲載しているほど。
Qiita
プログラマの問題解決サイトで、エンジニア同士で情報共有しあえるメディアです。様々なエンジニアが最新技術やマイナーな技術に関して情報公開しているので「自分の技術がトレンドにキャッチアップできているか」を確認できます。
はてなブックマーク
「テクノロジー」カテゴリの人気エントリーのページがおすすめ。ガジェット系の記事やITニュース記事なども含めた、鮮度の高い様々なIT情報が得られます。
Twitterも活用
少し英語を読める方におすすめなのがdev.to(デヴ・トゥー)の公式アカウント『@ThePracticalDev』。入門者向けの記事も多く、サイトの雰囲気も良心的。Twitterでは特に面白い記事をピックアップしてツイートしてくれています。
フロントエンドだけでなく、バックエンドの情報も豊富なので、海外のIT情報を収集するのにも役立ちます。
そのほか、バックエンドの方ならAWSやGCPの公式アカウントなどもフォローしておくといいでしょう。
イベント・セミナーに参加する
エンジニア向けのサロン、勉強会サイトもたくさんあります。
connpass
エンジニア向け勉強会やセミナーの情報を載せるプラットフォームです。
プログラミングを学ぶオンライン学習サービス「PyQ(パイキュー)」を運営する会社のサイトで、イベント数も1日30~60個と膨大です。
豊富なカテゴリから興味のあるセミナーを選べ、無料で参加できるものもたくさん。
エンジニア自身がイベントを開催することもできるので、同ジャンルで活躍するエンジニアを集めて交流することもできます。
TECH PLAY
エンジニアのスキルアップを目的とした勉強会やイベントを開催するメディアです。各分野のスペシャリストが登壇するトークイベントも頻繁に開催しているので、現場の生の声を聴くことができます。
IT人材の育成と就職支援をセットで提供する『TECH PLAY Academy(テック プレイ アカデミー)も開講しています。
まとめ
今回は、フリーランスエンジニアが求められるスキルについてお話してきました。
エンジニアの種類によって求められる技術は異なるものの、共通するのはトレンドを意識して自主的に情報収集・自己学習をすることです。
エンジニアは他の職種と比べても、自己学習の時間が長く、競争も激しいのは事実。ただ、最新技術に関心があったり、習得を楽しめる方には最適な職種です。
今のキャリアではどんなスキルを習得すればいいかな?他のエンジニアの職種も経験してみたい、など誰かに相談したいと思ったら、ぜひエージェントも活用してみてください。
・フリーランスだけど安定して働いていきたい
・年収アップするためにはどうしたらいいのだろう
気になることは、どんな些細なことでも
お気軽にご相談ください。
IT業界において経験豊富な弊社キャリアサポーターが、1対1でお話をさせていただきます。フリーランスの皆様のスキル、過去のご経験を元に今後のキャリアプランを一緒に築いていくためのご提案させていただきます。
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